薬剤感受性試験とは?

薬剤感受性試験という言葉を聞いたことはないでしょうか?
よくドクターから血液培養報告の際に、二言目には「感受性試験は?」って聞かれたものです。

今回は薬剤感受性試験の大まかな概要と、その種類について解説していきます。
あくまで導入だと思っててくださいね!

目次

薬剤感受性試験とは❔

いきなり答えかもしれませんが、薬剤感受性試験とは、

感染症の治療に有効な抗菌薬に対する感受性(有効性または抵抗性)を調べるための検査のことです。

要は薬が効くか効かないかを調べるための検査ということです。
なぜそんな検査が必要かというと、バイ菌と呼ばれる病原微生物の種類は数多くいて、それぞれに使用する抗菌薬、相性のいいもの、もともと効かないものなど様々です。
最近は薬剤耐性菌という今まで効いていたのに、効かなくなってしまった細菌も出てきたおかげで、いかに効く薬を選ぶかが感染症治療のネックになっています。

薬剤感受性試験の種類

一口に薬剤感受性試験と言っても、その検査法はなんと4種類に分類することが出来ます。

薬剤が培地中などへ拡散していき、抗菌薬の効きと微生物の増殖の拮抗バランスを見る拡散法か、薬剤を薄めていくことでどれほど薄くしても効果があるかを調べる希釈法に分かれます。

ディスク法

ディスク法とは一定濃度の薬剤が含まれたディスクを使用し阻止円の大きさを測定する検査のことです。丸形の少し厚みのある濾紙を置くことで細菌が増殖できないディスク周辺の円形状の有効帯(阻止円)の大きさ測定します。

    濃度勾配ストリップ法

    濃度段階のついたストリップを使用し、ディスク法と同様に形成した阻止円の大きさを確認しそれをもとに最小発育阻止濃度(MIC)を測定します。

    ディスク拡散法のような簡便な主義でMIC値が知りたいと思ったときに有効です。

    そのメリットとして、

    • メモリを読み取ることでMIC値を測定することができる
    • 低濃度・高濃度域の細かなMICを見ることができる
    • 特殊な細菌にも有効

    微量液体希釈法

    薬剤の濃度段階をつけた液体培地を入れた96ウェルマイクロプレートを使用しMICを測定する。

    1980年代半ばより国内ではCLSI基準に従った検査法を導入し、国内での検査方法の統一を図ったこと、さらに検査試薬メーカーが微量液体希釈法のプレートを供給するようになり、それまで主流であったディスク法の代わりに、定量的に数値が得られるMIC測定が広く行われるようになってきました。

    ディスク法では、薬剤感受性試験の結果をSusceptible(S)、Intermediate(I)、Resistant(R)のカテゴリ判定しかできなかったが、微量液体希釈法では発育を抑えることができる濃度を示したMICによる報告もできるようになってきました。

    MICとMBC

    MICとはMinimum Inhibitory Concentration(最小発育阻止濃度)のことで、抗菌薬によって細菌の増殖を抑える事ができる最小の薬剤濃度値のことを言います。

    一方MBCとはMinimum bactericidal concentration(最小殺菌濃度)のことを言います。

    もうおわかりでしょうか?
    発育阻止は増殖を抑えている濃度のことで、殺菌はその名の通り、細菌が存在していない状態の濃度を表します。
    つまりMICとMBC。名前は似ていても全く別の意味を表していることが分かると思います。

    つまり、発育抑制掛かっているMICも実際にその濃度のものを培地で培養してみると細菌は生えてきます。このときに培地に生えてこなくなった最小濃度をMBCというわけです。

    学生さんの中では、まだ現場に出ていないせいか似ているMICとMBCを逆に覚えている方もいたかもしれません。これを機会に覚え直してみてはいかがでしょうか?

    まとめ

    本日は薬剤感受性試験の種類を大まかに説明いたしました。
    これが区別できていると国試でも問題なく問題が解けることでしょう。

    特徴ディスク法E-test微量液体希釈法
    手技簡便簡便やや簡便
    コスト安価高価高価
    定量化(MIC)
    自動化
    まじり確認
    各測定法の比較表
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