本日はグラム陽性菌と、グラム陰性菌の細胞壁の構造の違いを解説していきます。
グラムとはグラム染色のことで、この細胞壁の構造の違いを利用して、染め分けをすることができる検査方法になります。
グラム染色については後日解説していきます。
細胞壁とはどこ?
細胞壁というと読んで字の如く、細胞と包んでいる壁のことです!
では壁とはどこかというと、外界とを隔てている外側の部分になります。
構造の違い
ペプチドグリカンの厚さが異なる
ペプチドグリカンは、N-アセチルグルコサミン(NAG)とN-アセチルムラミン酸(NAM)が相互に網の目状に交差して高分子の膜を形成しています。このNAGとNAMの繰り返しをひとつの単位として、NAMのカルボキシル基に5つのアミノ酸が結合したユニットで成り立っています。これらがPBPを介して、5つのグリシンで結合することで、格子状の構造物を形成しています。
上記の簡略化したイラスト図でも分かるように黄色で示したペプチドグリカン層の厚みがグラム陽性菌と陰性菌で全くことがわかります。
グラム陰性菌にはペプチドグリカン層の他に外膜が存在する
グラム陰性菌にはペプチドグリカン層の外に外膜が存在します。この外膜は主にリン脂質とリポ多糖体で構成されています。リポ多糖体とはリピドAとO多糖で出来ていて、中でもリピドAは内毒素(エンドトキシン)と呼ばれる動物に毒性を示す物質で敗血症なのではエンドトキシンショックを起こすことがあります。
また外膜には脂質成分が多く含まれているのも特徴です。
まとめ
表でまとめるとこんな感じでしょうか。
特徴 | グラム陽性菌 | グラム陰性菌 |
タイコ酸 | 有 | 無 |
脂質成分 | 非常に少ない | リポ多糖体 |
外膜 | 無 | 有 |
毒素 | 外毒素 | 内毒素 |
ペプチドグリカン | 厚い | 薄い |
グラム陽性菌とグラム陰性菌の細胞壁の構造の違いについて簡単にお話いたしました。
①ペプチドグリカン層の厚さが異なる。
②グラム陰性菌には外膜が存在する。
この違いをうまく利用したのがグラム染色になります。
グラム染色はペプチドグリカン層の厚いグラム陽性菌はクリスタル紫は脱色されにくいが、ペプチドグリカン層の薄いグラム陰性菌はエタノールなどの脱色液でクリスタル紫が脱色されてしまうのです。
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